- なぜ今、アルツハイマー型認知症の正しい理解が必要なのか
日本における認知症患者数は増加の一途を辿っており、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されています。その中でも約6〜7割を占めるのが「アルツハイマー型認知症」です。
現場で働く介護職の皆様や、ご家族を支える方々にとって、「なぜこのような行動をとるのか?」という背景(脳の仕組み)を理解することは、ストレスを軽減し、より良いケアを提供するための第一歩となります。本記事では、脳の構造から具体的なケアのコツまで、専門的な視点で詳しく解説します - 脳の構造と機能:認知症を理解するための基礎知識
認知症を理解するには、まず「脳がどこで何をしているか」を知る必要があります。アルツハイマー型は脳の萎縮を伴うため、どの部位がダメージを受けるかで症状が変わります。
大脳の4つの役割
- 前頭葉(ぜんとうよう): 思考、判断、感情のコントロール、意欲。ここが衰えると、感情が抑えられなくなったり、無気力になったりします。
- 側頭葉(そくとうよう): 記憶、言語の理解、聴覚。アルツハイマー型で最初に影響を受けやすい「海馬(かいば)」がここにあります。
- 頭頂葉(とうちょうよう): 空間認識、計算、認識。ここがダメージを受けると、着替えがうまくできない(失衣)、道に迷うといった症状が出ます。
- 後頭葉(こうとうよう): 視覚情報の処理。
- アルツハイマー型認知症のメカニズムと原因
アミロイドβとタウタンパク質の蓄積
アルツハイマー型認知症の主な原因は、脳内に「アミロイドβ」や「タウ」と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積することだと考えられています。これらが脳細胞を死滅させ、脳全体が徐々に萎縮していきます。
発症のプロセス
発症する20年以上前から、脳内ではこれらの変化が始まっていると言われています。つまり、高齢になって突然なるのではなく、長い年月をかけて進行する病気なのです。 - アルツハイマー型認知症の「中核症状」と「BPSD」
SEOで重要なのは、読者が検索する「具体的症状」を網羅することです。
① 中核症状(脳の障害で直接起こる症状)
- 記憶障害: 昨日の食事の内容ではなく「食べたこと自体」を忘れる。
- 見当識障害: 時間、場所、人物がわからなくなる。
- 実行機能障害: 料理の段取りが立てられない、家電の使い方がわからなくなる。
- 失認・失行・失語: 道具の使い方がわからない、言葉が出てこない。
② BPSD(周辺症状:環境や性格に起因する症状) - 徘徊: 目的を忘れて歩き回る。
- 抑うつ・無気力: 何もしたくない、引きこもる。
- 妄想(物盗られ妄想): 「財布を盗まれた」と家族を疑う。
- 不潔行為・暴言: 脳の抑制機能が低下することで起こります
ステージ別:進行度と現れる変化
アルツハイマー型は「緩やかに進行する」のが特徴です。
段階 主な状態 ケアのポイント
初期 物忘れ、意欲低下、軽度の混乱 自尊心を傷つけないサポート、早期受診
中期 見当識障害、BPSDの顕在化、日常生活に介助が必要 否定せず受容する、事故防止(徘徊対策)
末期 発語の消失、寝たきり、嚥下困難 身体的ケア(褥瘡・感染症予防)、非言語的交流 介護現場で役立つ「ケアの3つの鉄則」
専門職としてのスキルを高めるための実践的なアドバイスです。
- 否定しない・正そうとしない:
本人の世界では、その記憶や認識が「真実」です。間違いを正すと、強い不安や怒りを招きます。 - 感情の残存を活用する:
出来事は忘れても、「楽しかった」「怖かった」という感情は脳に深く刻まれます。「この人といると安心だ」と思ってもらえる関係作りが重要です。 - 「できないこと」ではなく「できること」に注目する:
役割(洗濯物たたみ、拭き掃除など)を持つことで、進行を遅らせ、BPSDを緩和する効果があります。
- 最新の治療薬と予防に関する知見
(※2023年〜2024年に承認された「レカネマブ」などの新薬
- 根本治療薬の登場: アミロイドβを取り除く新薬の効果と対象。
- 生活習慣での予防: 運動(デュアルタスク)、食事(地中海料理)、社会参加の重要性。
- まとめ:介護者が「心の余裕」を持つために
アルツハイマー型認知症のケアは長期戦です。完璧を目指すのではなく、病気の特性を知ることで「これは病気のせいなんだ」と一歩引いて見ることが大切です。

