こんにちは!ひーくんあおくんパパです。
毎日介護の現場で働いていると、利用者さんの生活を支える中で「これって私がやっていいの?」「看護師さんを呼んだ方がいいのかな?」と迷う場面にたくさん遭遇しませんか?
食事や排泄、入浴の介助といった生活サポートが私たちのメインの仕事ですが、高齢化や重度化が進む今の介護現場では、利用者さんの医療的なケアに関わる機会も増えています。
そこで今回は、現場の介護職が必ず知っておくべき「介護職と医療行為の線引き」について、現役介護職の目線から徹底的に解説したいと思います!
介護職は医療行為はできるの?
結論から言うと、原則として介護職は医療行為を行うことはできません。
これは法律(医師法・保健師助産師看護師法など)で厳しく定められており、医師や看護師などの有資格者でなければ行ってはならないとされているからです。
しかし、「原則として」と書いたのには理由があります。
介護現場のニーズの高まりを受け、国も制度を見直してきました。特定の条件を満たしたり、研修を受けたりすることで、「一部の医療的ケア」や「医療行為に該当しないとされた行為」については、介護職でも実施できるようになっています。
つまり、「基本はNGだけど、ルールを守ればOKなものがある」というのが現在の介護現場のリアルな状況です。
そもそも医療行為とは?
では、そもそも「医療行為(医行為)」とは何なのでしょうか?
厚生労働省などの見解を分かりやすく噛み砕くと、「医師の医学的判断や技術をもってしないと、人体に危害を及ぼす恐れのある行為」を指します。
ちょっと難しい表現ですが、要するに「医療のプロがやらないと、患者さんが怪我をしたり、命に関わったりする危険なこと」です。
• 絶対的医行為: 医師しかやってはいけないこと(診断、手術、処方箋の交付など)
• 相対的医行為: 医師の指示のもと、看護師等ができること(注射、点滴の管理、採血など)
私たち介護職は、このどちらの権限も持っていません。私たちが相手にしているのは「病気」ではなく「生活」です。しかし、生活と医療は密接に関わっているため、どこまでが「生活の延長(介護)」で、どこからが「医療」なのか、その境界線(グレーゾーン)を正しく理解することが、自分自身と利用者さんを守る第一歩になります。
介護職のしていいこと、ダメなこと
かつては「爪切りも体温測定も医療行為だから介護職はダメ!」と言われていた時代もありましたが、平成17年(2005年)に厚生労働省から「原則として医行為ではないと考えられる行為」という画期的な通知が出されました。
これにより、以下のような「日常的なケア」は、状態が安定していることを条件に介護職でも行って良いと明確にされました。
介護職が「していいこと」(医行為に該当しない行為)
• バイタルサインの測定: 体温測定(水銀計・電子体温計)、自動血圧計での血圧測定、パルスオキシメーターでの血中酸素飽和度の測定
• 軽い傷の処置: すり傷や切り傷への絆創膏貼り、ガーゼの交換(専門的な処置が不要なもの)
• 軟膏の塗布: 褥瘡(床ずれ)の処置ではない、保湿剤や市販の軟膏を塗ること
• 点眼・服薬介助: 医師の処方通りにセットされた薬を飲ませること、目薬をさすこと
• 市販の浣腸器の使用: グリセリン浣腸(条件あり)や座薬の挿入
介護職が「してはいけないこと」(医行為にあたる行為)
• 注射・点滴の管理: インスリン注射の実施や、点滴の針の抜去・速度調整
• 褥瘡(床ずれ)の医療的処置: 悪化した褥瘡の消毒や、医療用軟膏の塗布
• 摘便: 指を使って腸内の便をかき出す行為(非常に危険を伴います)
• 服薬の判断: 「今日は熱があるからこの薬はやめておこう」と介護職が勝手に判断すること
これらはあくまで一例です。「していいこと」であっても、利用者さんの状態がいつもと違う場合は、すぐに看護師に報告し、バトンタッチすることが必須です。
経管栄養の患者様対応
ここからは、特定の研修(喀痰吸引等研修)を修了した介護職ができるようになる「医療的ケア」について触れていきます。まずは「経管栄養」です。
口から食事を摂ることが難しい利用者さんに対し、胃ろう(PEG)や鼻からのチューブを使って直接胃や腸に栄養剤を注入します。
【介護職が対応する際の重要ポイント】
1. 事前の確認: 注入前に、チューブが正しく胃に入っているか、胃ろうの周囲の皮膚に赤みやただれ(スキントラブル)がないかを確認します。
2. 姿勢の調整: 逆流による誤嚥性肺炎を防ぐため、注入中から注入後しばらくは、ベッドの頭を30〜45度程度上げる(ファーラー位)ことが重要です。
3. 清潔操作: 栄養剤のボトルやチューブは細菌が繁殖しやすいため、器具の洗浄と乾燥を徹底し、清潔な状態で扱います。
経管栄養は「ただ栄養を流せばいい」というものではありません。注入スピードが早すぎると下痢や嘔吐を引き起こすため、常に利用者さんの顔色や呼吸状態を観察しながら実施する高い専門性が求められます。
吸引の知識
続いて「喀痰(かくたん)吸引」です。これも研修を受けた介護スタッフのみが実施できるケアです。
自力で痰を外に出せない利用者さんにとって、痰の詰まりは窒息に直結する命に関わる問題です。
【吸引における基礎知識と注意点】
• 種類: 介護職ができるのは「口腔内(口の中)」「鼻腔内(鼻の中)」「気管カニューレ内部」の吸引です。
• 危険性: 吸引器の圧が高すぎたり、チューブを深く入れすぎたりすると、粘膜を傷つけて出血させたり、迷走神経反射を起こして脈拍が急激に低下したりする危険があります。
• 観察の徹底: むやみに吸引するのではなく、ゴロゴロという呼吸音(副雑音)があるか、SPO2(血中酸素飽和度)が下がっていないかを確認し、「本当に今、吸引が必要か」を見極める知識が必要です。
吸引は利用者さんにとって苦痛を伴う処置です。声かけを行い、不安を取り除きながら、短時間で的確に行う技術が求められます。
介護職は医療行為はできるの?
介護現場で日常的によく頼まれるのが「爪切り」と「耳掃除」です。
これらも昔はグレーゾーンとされていましたが、現在は「異常がない場合に限り、医療行為ではない(介護職がしてよい)」とされています。
ただし、ここには大きな「条件」がついていることを絶対に忘れてはいけません。
• 爪切り: 「爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がない場合」のみOKです。
• 耳掃除: 「耳垢が耳の穴を完全に塞いでしまっている(耳垢塞栓)などの異常がない場合」のみOKです。
つまり、「健康な状態の爪と耳を、日常的な清潔保持の目的でケアする」ことは介護職の仕事ですが、少しでも病気や怪我のサインがあれば、それは医療の領域に変わります。
爪切り、耳掃除の注意点
安全に行うための具体的な注意点を見ていきましょう。
爪切りの注意点(フットケアの重要性)
特に注意すべきは糖尿病を患っている利用者さんです。糖尿病の方は末梢神経の感覚が鈍くなっており、さらに血流も悪くなっています。
介護職が誤って深爪をして微小な傷をつけてしまった場合、本人が痛みを感じにくいため発見が遅れ、そこから細菌感染を起こし、最悪の場合は足の切断(壊死)に至るケースもあります。
巻き爪(陥入爪)や、分厚くなった爪(肥厚爪)、白癬(水虫)がある場合は、絶対に無理をせず看護師や皮膚科医に委ねてください。
耳掃除の注意点
高齢者の耳の皮膚は非常に薄く、乾燥しています。耳かきでゴシゴシこすると簡単に傷がつき、外耳炎を引き起こします。
基本的には入り口付近の汚れを綿棒で優しく拭き取る程度にとどめましょう。奥の方に大きな耳垢の塊(耳垢塞栓)が見えても、素人が取ろうとすると奥に押し込んでしまったり、鼓膜を傷つけたりする危険があるため、耳鼻科を受診してもらうのが鉄則です。
無理しない範囲で行う精神的技術とは?
ここまで様々なケアについて解説してきましたが、私たち介護職の心の中には「万が一、自分のせいで状態が悪化したらどうしよう」という強いプレッシャーが常にありますよね。
医療的な判断が求められる場面で、介護職が「無理しない範囲で行うための精神的技術(マインドセット)」として大切なのは、以下の3つです。
1. 「自分ひとりで抱え込まない」と決めること
介護職は優しい人が多いため、「自分がやってあげなきゃ」と無理をしてしまいがちです。しかし、医療の知識がない中で無理をすることは、結果的に利用者さんを危険に晒すことになります。
2. 「できない」と言う勇気を持つこと
「この爪は巻き爪がひどくて私には切れません」「この皮膚の赤みは、いつもの軟膏を塗っていいか判断できません」と、はっきり伝えることは「逃げ」ではなく、専門職としての「正しいリスクマネジメント」です。
3. 報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を徹底する
少しでも迷ったら、その場で手を止めて看護師やリーダーに相談する。この心理的安全性を職場全体で作っていくことが何より大切です。
やる、やらないの線引き
最後に、日々の業務の中で「やるか、やらないか」の線引きに迷ったときの基準をお伝えします。
• 法的な基準をベースにする: 厚生労働省が「医療行為にあたる」としているものは絶対にやらない。
• 施設・事業所のルール(マニュアル)に従う: 法律上はOKでも、「当施設では爪切りは看護師が行う」というルールがあればそれに従います。
• 「いつもと違う」は即ストップ: 許可されている行為(例:服薬介助)であっても、「今日は嚥下(飲み込み)の調子が極端に悪い」「薬を吐き出してしまった」など、イレギュラーな事態が起きたら自己判断で続行せず、医療職に判断を仰ぎます。
一番怖いのは「慣れによる自己判断」です。「いつも大丈夫だから、これくらいなら私がやっても平気だろう」という油断が、重大な事故を引き起こします。線引きを厳格に守ることこそが、利用者さんの命と、私たち自身のキャリアを守る盾になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、介護職と医療行為の境界線について、現場のリアルな目線から解説しました。
私たち介護スタッフは医師や看護師ではありません。病気を「治す」ことはできません。
しかし、一番近くで利用者さんの日々の生活に寄り添い、小さな変化(「いつもより顔色が悪いな」「食欲がないな」といったサイン)に誰よりも早く気づけるのは、私たち介護職です。
医療行為の線引きを正しく理解し、できないことは医療のプロフェッショナルに繋ぎながら、私たちができる「生活を支えるプロ」としてのケアに誇りを持って、明日からも一緒に頑張っていきましょう!
この記事が、日々現場で悩む介護職の皆さんの参考になれば嬉しいです。
ひーくんあおくんパパでした!

